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少女の夢とアン

09 09, 2014 | Tag,少女,思春期,
大人気のNHK朝の連続テレビ小説『花子とアン』。
しかしこの連ドラもとうとう今月で終わります。
半年って早いですねぇ。ファンとしては淋しいです。

この『花子とアン』のヒットによって、
これまでどちらかといえば個性派女優と位置付けられていた吉高由里子さんも
すっかり国民的女優になった感じですね。
そして特筆すべきはやはり、白蓮役の仲間由紀恵さん。
気が付けば彼女はこんなにも成熟した大人の女性を、
堂々と艶やかに演じられる女優さんになっていたのですね。
白蓮を演じる仲間さんには、既に大女優としての貫禄すら伺えます。

新たに魅力的な男優が登場するのも、
実は朝ドラの楽しみのひとつ。
今回もやはり、花子の夫・村岡英治を演じた鈴木亮平さん、
白蓮の夫・宮本龍一を演じた中島歩さんなど、
今後の活躍が楽しみな男優さんが出てきました。
ちなみに宮本龍一のモデルとなった人物、宮崎龍介は、
孫文の中国大陸での革命運動を支援した宮崎滔天の長男で、
熊本に縁の深い人物でもあります。
…流石に今回のドラマではこの辺りのことまでは描かれておりませんが。

一方、嘉納伝助を演じた吉田剛太郎さんや、
花子の幼なじみ、木場朝市を演じた窪田正孝さんなどは、
彼らの役者としての魅力をこのドラマのお蔭で
また新たに発見できたように思います。

さてドラマも最終月になって、やっと花子の手元に
かつての恩師、スコット先生から『赤毛のアン』の原書、
『Anne of Green Gables』が贈られました。
実際の村岡花子氏に照らし合わせると、花子はこの時46歳。
それから6年後、第二次世界大戦終戦の年に
村岡氏は『Anne of Green Gables』の翻訳を終えました。
そして1952年、この物語は三笠書房から
『赤毛のアン』というタイトルで初めて出版されたのです。
この時、村岡氏は59歳になっていました。
その後75歳で没するまで、『赤毛のアン』シリーズをはじめとする
L・M・モンゴメリの数々の作品を村岡氏は翻訳されました。

この『赤毛のアン』シリーズ、
私も小学校高学年から中学校1年にかけての年の頃、
夢中になって読んだものです。

自己メンテ・文学

当時、ピアノのレッスンの帰りに地元の長崎書店で
講談社刊のこの本を見つけた私は、
小学生ながらその美しい装幀にとても惹きつけられました。
この鈴木義治氏の美しい絵の函の中に、
このように乙女心をくすぐる可愛いデザインのご本が収められているのです。

自己メンテ・文学

小学生の頃の私はそれこそ夢見る夢子さんでしたので、
まずもうこの装幀のセンスにメロメロ。
ある種ジャケ買い(笑)に近い感覚で、
この『赤毛のアン』シリーズ第1巻を買ったのです。
当時はこのような函入り・ハードカバーの本が550円でした。
…勿論、小学生のお小遣いからは大出費でしたが(笑)。

自己メンテ・文学

そのようにして出会った『赤毛のアン』。
もちろん、翻訳は村岡花子氏。
実際に読みはじめて、すっかり私はアンの世界に魅了されてしまいました。
“かがやく湖水”や“妖精のいずみ”のある、
カナダのプリンスエドワード島アボンリーの美しい風景、
アンの住む“グリーンゲイブルズ(緑の切り妻屋根)”の白い家、
“腹心の友”ダイアナとの心温まる友情、
マシュウとマリラがアンに注ぐ静かで確かな愛情…。

講談社のこの『赤毛のアン』シリーズは、
このように1ページ2段組で、鈴木義治氏の美しい挿絵も挿入されています。

自己メンテ・文学

この鈴木氏の絵が私は大好きで、
私のアンのイメージはもう、この鈴木氏の描くアンですね(笑)。

その後私は『アンの青春』、『アンの愛情』と読み進め、
最初は孤児院育ちで、赤毛で、そばかすで、やせっぽちでと、
コンプレックスの塊だったアンが、
成長するにつれ、高い教養と品格ある美しさを身に付けていくのを見て、
次第にアンに憧れるようになりました。
私もアンのように、自分を磨いて美しく成長していきたい!と思っていましたね。

自己メンテ・文学

しかし…私がアンの世界に夢中になったのは、
この『アンの愛情』がピークであり、最後でした。
この巻の最後で、幼なじみのギルバートのプロポーズを受け入れたアン。
文学への夢も諦めたアンのその後の人生は、
何となく想像がついてしまったのです。
それ故、私のアンに対する興味や憧れも、
少しずつ薄れていくのをどうすることもできませんでした。

この後に続く『アンの幸福』、『アンの夢の家』、『アンの愛の家庭』…。

自己メンテ・文学

当時の私はこれらの巻も購入してはいるのですが、
どうも読んだ記憶がありません。
平凡だけれど愛に満ちた生活…。
そういうものに、少女期の私は飽き足らなかったのでしょうか。
何かもっと新しい未知の世界が知りたい!と思っていたのかも知れません。

いつしか私も中学生となり、成長期で体も変化しはじめ、
それにつれて自意識も敏感になる年頃を迎えていました。
そこで私は「自分とは何者なのか?」という問いにぶつかります。
いわゆる自我の目覚め、というやつですね。
思春期の通過儀礼。
その頃にこれ以上もないタイミングで出会ったのが、
ヘルマン・ヘッセの文学。

自己メンテ・文学

これもなかなか素敵な装幀でしょう?
昔のハードカバー本はほんとに函入りが多かったですね。
やはり講談社刊です。いい仕事してますねぇ。

自己メンテ・文学

これも1ページ2段組で、文字がびっしり並んでいます。
文字も小さい!
あと数年したら、裸眼では読めないかも(笑)。

自己メンテ・文学

ヘッセといえば、高橋健二氏の翻訳が有名ですが、
この講談社刊は、登張正美氏、秋山英夫氏、永野藤夫氏の3者の翻訳で
それぞれの作品を収録してあります。
この2つの巻の中に、『車輪の下』や『シッダールタ』、『荒野の狼』、
『知と愛』などの作品群が収められているのですが、
その中で、当時私が最も好きだった作品が『デーミアン』。
この作品との出会いは、私にとって衝撃的でした。

  「実際、僕が生きようとこころみたことは、
   ひとりでに僕のなかから出てこようとしたものだけだったのだ。
   どうしてそれが、あれほどまでに困難だったのだろうか?」
                        秋山英夫訳『デーミアン』

もうこの『デーミアン』の冒頭の部分を読んだだけで、
思春期のあの頃の気持ちがよみがえってきて、ゾクゾクッとしてしまいます。
この冒頭の文章だけで、私の心は打ち抜かれました。
きっとこの小説の中に、私の求めるものが書かれているに違いない、と
確信した瞬間でした。

  「僕の好奇心が求めているもの、
   さまざまな夢と快感と不安を僕に与えたもの、思春期の大きな秘密は、
   垣をめぐらされたような子供の平和な世界の、
   あの幸福とは、まるきりあわないものだった。
   僕はみんながやるとおりのことをした。
   もう子供ではなくなっている子供たちのやる、
   あの二重生活を送ったのだ」
                        秋山英夫訳『デーミアン』

この主人公のエーミール・ジンクレールが感じていたこの心のざわめきは、
そのまま当時の私が感じていたものと同じ種類のものでした。
思春期の心身の変化に戸惑う少年期の心の内面を、
これほどまでに的確に表現した文章があるでしょうか。

自らの感情や心理状態を、的確な言葉に翻訳すること。
これは自分を見つめ直し、落ち着かせる意味で、大切な作業です。
もし自分で自分の心の状態を言語化するのが困難であれば、
その時は優れた文学や芸術が、きっと心の救いとなることでしょう。

そういう意味では、この秋山英夫氏の翻訳で
『デーミアン』を読むことができたのも、私にとって幸せでしたね。
秋山氏の『デーミアン』は名訳だと思います。
氏の翻訳は実に滑らかで文章としてこなれているので、
スムーズに心のなかに入ってくるのです。
同様に、村岡花子氏の翻訳で『赤毛のアン』が読めたことも幸せでした。
外国文学の場合、その作品を好きになれるかどうかは、
まさに翻訳の質にもかかっているのですよね。

  「これを境にいっさいが変わった。
   幼年時代は僕のまわりでくだけ散って、残骸になってしまった。
   両親は、なんだか困ったような顔つきで、僕を見つめていた。
   姉たちは僕にはまったく縁遠い存在になった。
   いままでなじんできた感情やよろこびも、何か興ざめで、
   色あせたものになった。
   花壇も香りを失い、森も魅力を持たず、
   世界は僕のまわりで古道具の安売りのように、
   味のぬけた、そっけないものになった」
                        秋山英夫訳『デーミアン』

もしかしたら、このような思春期の第2の自我の目覚めに深く陥ることもなく、
あの『赤毛のアン』に描かれているような世界を、大事に自分の中で育てながら、
麗しい乙女のまま大人へと成長していく女性も少なからずいるのかも知れません。
そして女性というものは、そのようにして成長してゆくのが幸福なのだ、
と考える方もいらっしゃることでしょう。

自己メンテ・文学

不思議なことに私自身は子供の頃から、
花嫁姿の自分というものを想像したことがありませんでした。
客観的には純白のウエディングドレスはとても美しいと思います。
でもそこに何故だか自分の顔を当てはめたことがない。
憧れたことがないのです。

同様に自分の子供を抱いている自分の姿というのも…想像したことがない。
今にして思えばこれは、後の私の人生を予感していたとも云えなくもありません。

純白のウエディングドレス。ツリーを飾ってのクリスマスのお祝い。家族の団欒。
家庭の幸福に専念する女性像…。
その昔、19世紀の英国のヴィクトリア女王が、
自国民に披露したこれらの習慣や価値観。
それはたちまち英国の中産階級の女性たちの間で憧れとなり、真似するところとなり、
そしていつしかその習慣や価値観は海をも渡り、世界中に広まりました。

この19世紀の英国女王が広めた価値観やライフスタイルに、
何だかんだ云いつつ未だに何となく振り回されている21世紀の女性たち。
ヴィクトリアの呪い、とでも云ってしまおうか(笑)。
もちろん今でもウエディングドレスや、クリスマスツリーを囲む家族の風景などに
幸せのイメージを求める人々がいても、別に否定はしない。
しかし情報が氾濫し、価値観も多様化して久しい現代。
もういい加減19世紀のヴィクトリアの呪縛からは
解き放たれてもいいのではないかしら?

思春期の“まがりかど”を、思いっきり曲がってしまった(笑)私は、
もうアンの世界からは遠く離れた所にいるかのように思われるでしょうが、
一応私も女の端くれ。
ふわふわキラキラの乙女心はちゃあんと心の奥に仕舞ってあるのですよ。
でなければこの『赤毛のアン』の本も、こんなに大事に取っておくものですか。
今でもこの可憐な装幀には萌えますわ。
もう何で全巻揃えておかなかったのかしら~。
講談社さま、どうか復刊してくださらない?
そうそう、秋山英夫訳の『デーミアン』もぜひ。

私にとって『赤毛のアン』は幼年期のノスタルジー。
子供時代の平和な世界の象徴。
それはそれで、大切な宝物なのです。

おばあちゃんになったら…シリーズの続き、読もうかな?

自己メンテ・文学









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